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「黄金の腕」 |
| 黄金の腕 1955・米 |
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![]() 製作:監督: オットー・プレミンジャー 原作:ネルソン・アルグレン 脚色:ウォルター・ニューマン ルイス・メルツァー 撮影:サム・リーヴィット 音楽:エルマー・バーンスタイン 出演:フランク・シナトラ エレノア・パーカー キム・ノバク アーノルド・スタング ダーレン・マクギャビン ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 シカゴの北クラーク。フランキー(フランク・シナトラ)はレキシントンの連邦麻薬対策病院で6ヶ月も過ごしてきたばかりだった。麻薬の常習からの脱皮を図ってきたのだ。
シカゴに舞い戻ったフランキーはアンテックやマウルの仲間たちの歓迎を受ける。
フランキーは狭いアパートで車椅子の生活を余儀なくしている美しい妻ザッシュ(エレノア・パーカー)に会いに行く。
ザッシュは交通事故で足を負傷し車椅子生活になっているのだった。
「俺はドラムで食っていくことにした」 フランキーはレキシントンの病院でドラムの練習に明け暮れてきたのだ。フランキーが言うと、ザッシュは猛反対した。
「貴方には黄金の腕があるのよ」 フランキーはトランプ賭博で“黄金の腕を持つ男”と呼ばれるほどの名うてのカードの配り手だった。その腕を生かさない手は無いとザッシュは言うのだ。
ドラマーになりたいフランキーは納得しないザッシュと口論の末、ドラマーの審査の口利きをするレーンに会いに行くといってアパートを飛び出した。
フランキーを慕うスパロウ(アーノルド・スタング)は格好が大事だといい、どこかから洋服一揃えを盗んできた。
フランキーとスパロウがアパートを出ると、足の不自由の筈のザッシュは車椅子から立ち上がり窓から見送るのだった。
ザッシュはフランキーを愛しており、車椅子生活しか出来ない自分を捨てるフランキーではないと、怪我は直っているのに車椅子生活を装っているのだ。
巡査部長のクヴォルカは、フランキーとスパロウを万引きのかどで捕らえた。
警察署長ベッドナーの元へ連行されると、やって来た胴元のシュワイフカがフランキーがもう一度彼の元で働くなら保釈金を出すという条件を出した。
フランキーはシュワイフカが密告者と分かっていたが彼のいうなりになるより仕方がなかった。
フランキーは再び賭場にやって来て素晴らしい“黄金の腕”ぶりを発揮した。
だが、そのうちにフランキーの手が震え始める。ヤク切れの状態が来たのだ。
麻薬の売人ルイ(ダーレン・マクギャビン)はフランキーにヤクを打てと勧める。悪魔の囁きだった。
フランキーは向かいにある安っぽいナイトクラブでモーリィ(キム・ノバク)の姿を見つけた。モーリィはフランキーの愛人だった。
レーンはフランキーにドラムの審査には必ず呼んでやると約束してくれたので、フランキーはザッシュが不満なのを承知でドラムの練習に励んだ。
しかし、ザッシュがドラムの音が我慢できないとわめいたので、フランキーはモーリィのアパートに逃げ込んだ。
胴元のシュワイフカが二人のいいカモを見付けたので、もう一度だけカードを配ってくれとフランキーに頼みに来た。
賭場ではフランキーがカードを配り、ポーカー・ゲームは徹夜で続く。
胴元のシュワイフカの資金が足りなくなり、フランキーは彼を救おうと隠していたカードを使う時に手が震えだした。
イカサマを相手に見破られ、賭場は乱闘の場になった。
フランキーは麻薬売人のルイのところへ駆け込んだ。
「麻薬をくれ!」 ルイが断るとフランキーはルイを殴り倒し、麻薬を腕に打った。
その日はフランキーのドラムの審査の日だった。フランキーは寝不足を我慢してレーンのところで審査を受けるがスティックは落とすし手が震えるわでどうしようもない有様だった。
フランキーはアパートに帰る。ザッシュに金が一文もないと愚痴を言われ又アパートを飛び出す。
その後にルイがアパートにフランキーに復讐するためにやって来た。ドアを開けた彼はザッシュが立っているのを見て驚いた。
それ以上に驚いたのは当のザッシュだった。いきなりドアが開いたので車椅子に座る暇がなかったのだ。
「なんだ、歩けるのか?バラしてやるぜ」 ルイが部屋を出るとザッシュが追いかける。
階段の踊り場でもみ合い、ザッシュはルイを踊り場の手すりから突き落としてしまった。ルイが死んだ。
ベッドナー刑事はザッシュに尋問した結果、フランキーに疑いの目を向けた。
そうしている間、フランキーはモーリィの部屋で麻薬の苦しみから抜け出そうと3日間地獄の苦しみに悶え苦しんだ。
そうしてフランキーは耐え抜き、やっと普通の状態に戻ることが出来た。
それを隣人からの通報でベッドナー刑事が知り、モーリィのアパートへ駆けつけるとフランキーはザッシュに会いに行って留守だった。
フランキーはザッシュに別れ話を持ち出した。
「金だけは不自由させない。働いて送る」 フランキーが部屋を出ようとするとザッシュは車椅子から立ち上がりフランキーを追う。
歩くザッシュに驚いたフランキーが唖然としているとドアにベッドナー刑事が来ていた。ベッドナーはザッシュを見て真相を知った。
ザッシュは全てを観念した。そのままドアの外へ走ると階段の手すりから身を投げたのだった。
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| 映画館主から 麻薬中毒患者の恐怖をテーマにした社会派ドラマの秀作です。
監督のオットー・プレミンジャーは、前年「帰らざる河」(主演:マリリン・モンロー、ロバート・ミッチャム)という異色西部劇を大ヒットさせました。
俳優としても活躍し、同胞のビリー・ワイルダー監督の「第十七捕虜収容所」(’53)では、ユダヤ人である彼が最も忌み嫌うはずの冷酷なドイツ人捕虜収容所長を演じています。
麻薬に冒されそこから抜け出そうと悶え苦しむカード配りの名手にフランク・シナトラが扮し体あたり的な熱演を見せます。
1953年の「地上より永遠に」でアカデミー賞助演男優賞を得たのもむげなるべきかなです。
注目すべきは、タイトルバックのデザインをしたソウル・バスと音楽担当のエルマー・バーンスタインです。
ソウル・バスのタイトルデザインは斬新で当時の映画ではなかなか見られないものでした。
本作を始め、ロバート・アルドリッチの「攻撃」(’1956年、主演:ジャック・パランス)、ウィリアム・ワイラーの「大いなる西部」(’1958年、主演:グレゴリー・ペック)、スタンリー・キューブリックの「スパルタカス」(’1960年、主演:カーク・ダグラス)、ロバート・ワイズの「ウエスト・サイド物語」(’1961年、主演:ナタリー・ウッド)などの名作や、アルフレッド・ヒッチコックの「めまい」(’1958年、主演:ジェームス・スチュワート)、「北北西に進路を取れ」(’1959年。主演:ケーリー・グラント)、「サイコ」(’1960年、主演:アンソニー・パーキンス)のタイトルデザインを担当し、強烈な印象を残しました。
音楽のエルマー・バーンスタインは200本以上の映画音楽を残した人で、中でも「十戒」(’1956年、監督:セシル・B・デミル、主演:チャールトン・ヘストン)、「荒野の七人」(’1960年、監督:ジョン・スタージェス、主演:ユル・ブリンナー)、「アラバマ物語」(’1962年、監督:ロバート・マリガン、主演:グレゴリー・ペック)、「大脱走」(’1963年、監督:ジョン・スタージェス、主演:スティーブ・マックィーン)などが有名です。
本作でも、暗黒街を想起させるようなビートの効いた音楽が実に効果的でした。
ストーリーはラストで意外な展開を見せミステリアスな余韻を残して終わります。 |
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