メコンデルタ旅行記 |
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![]() ![]() ■メコンデルタの旅情 ベトナムへはじめて旅をされるかたに、どこを観光すればよいですか?と聞かれて、たいていの場合、メコン川クルーズをまずはじめにお勧めしています。もちろんベトナムには様々な見所があって、それぞれに特徴のあるおもしろい場所があるのですが、 私にとってメコン川はベトナムと言われて一番最初に思い浮かべるくらいに印象深いものなのだと思います。 メコン川はチベット高原に源を発し、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れているインドシナ半島最大の大河で全長4500kmもあります。ベトナム南部で9本に分かれるのでクーロン(九龍)とも呼ばれています。川の水は流域の土砂を含みベトナムでは茶色い流れとなっています。私にとってのメコン川の印象はなんといってもその広大な川幅とゆったりと流れるおおらかさだと言えます。そして流域に住むベトナム人の生活を支える大切な宝物でもあります。 サイゴンから南のキエンザン省ラックザまで行くには、このメコン川流域を旅することになります。 サイゴンを出て南に向かい国道を南下すると南部の水田地帯の風景が広がります。椰子の木が茂り熱帯の樹木の林が見える他は、日本の田園風景と驚くほどよくにています。水田の景色はどこの国に行っても同じのようです。 ときどき水牛が水たまりで水浴びをしている風景に出くわすと、やはりここはベトナムであったのだと思い出したりするのです。 南部の農村を行く国道は水田の用水路に沿ってできています。道の隣に用水路があり、その向こう側に民家が並んでいて、そのまた向こう側に水田が広がっているのです。このあたりの上空を飛ぶ飛行機から下の風景を眺めると、用水路と国道を中 心に水田や村が造られていることがよく分かります。また道路の交差する場所には、商店の並ぶ町ができているのです。 水路には竹で造られた小橋がかかっています。この橋は丸太橋のように、歩くところに太めの竹が一本川の端から端へ通っているだけで、そのかわり両手を支えられるように手すりがついています。ベトナムの農村風景でとてもよく見かけることのでき る風物詩です。 サイゴンから南へ行くには国道一号線を使います。私の仕事はキエンザン省との合弁会社の設立でしたので、省都のラックザへ何度も凸凹道をトヨタの運転手つきセダンで通いました。 今はラックザまで飛行機が毎日飛んできますが、私が仕事をしていたときには空港が改修工事中で、しかも予算が無くて何年もの間も工事が延びて飛行機が飛ばなかったので、車でしか行くことが出来なかったのです。でも、そのおかげで、地上から ベトナム南部の農村やメコン川を何度も見る事が出来たのですが…。 ベトナム南部へ行く国道一号線は、サイゴンの中華街「チョロン」を抜けて田園地帯にはいります。しばらくは国営や外資の合弁の工場が並ぶ地帯を走りますが、それも徐々に田園風景だけになり、ところどころにある熱帯の椰子でつくった防風林と石で造られた独特のお墓がとうとつに田んぼの中に立っているだけの、のんびりした風景になります。 一面緑色に広がる水田を見ていると、本当に日本の田舎の風景ににているなあといつも思います。数十キロ走ると道沿いに家が立ち並ぶ小さな町が現れます。レンガとコンクリートで造られた四角い家の道路に面した側は、どの家も商店やカフェなどにして商売をしています。ベトナムの家族は、どこでも商売熱心なんですね。 国道一号線にあるこのような町は、市場と村の役所である人民委員会を中心に国道沿いに広がっています。国道を走っていると、水田にぼつぼつと立っている農家から農産物や、鶏や豚などをホンダのカブに山のようにつんで町の中心にある市場に向かって走る人々を良く見かけます。 国道で竹で編んだドジョウの罠を大きくしたような、ほそなが〜い筒を沢山積んだバイクを見かけることがありました。はじめは何のためのものなのか分かりませんでしたが、これは何を隠そう、これに豚を入れてバイクに載せて運ぶための入れ物なんです。そして私が見たのは、豚が売れて中身が空になって家に帰るバイクなのでした。 サイゴンから2時間くらい走ると、最初のメコン川の渡し場であるミトーへ近づいてきます。国道沿いには透明の液体を入れたガラス瓶をたくさん棚に並べて売っている、ストリートセラー達が増えてきます。 サイゴンの感覚で、ああ、ガソリンを道端で売っているのだな…と考えていましたが、良く聞いてみると、ミトーの名物、米で作った焼酎(ウォッカ)を販売しているのだそうです。 国道一号線がメコン川に沿って右へ大きく曲がる地点に、ミトー市の入り口があります。市の入り口には大きな門が建っていて、ここがミトーであることを旅人に知らせています。この門の手前の左側には、象の耳と呼ばれる魚のから揚げで有名なレストランTrung Luong (Tel.855441)があります。 国道一号線がメコン川にぶつかり大きく右に曲がるところに、ミトーの町の入り口の門があります。ミトー(My tho)のあるティエンザン(TIEN GIANG)省は、稲作と漁業、そしてトロピカルフルーツが有名で、マンゴーやドリアン、ランプータン、タンロンなど たくさんの美味しいフルーツの林が点在します。ここはフルーツ好きの私にとっては天国のような土地なのです(ドリアンを除きます…)。 ミトーの入り口をくぐって市内の道を行くとすぐにメコン川にぶつかります。メコン川沿いにいくつかの旅行社がツアーオフィスを構えていて、ここで手続きをして、メコン川クルーズに出かけることになります。 メコン川クルーズの船は、漁船を改造した小型の木造船で、ベトナム独特の青地に赤で竜の模様を船首に描いてあります。これは船が遭難しないためのおまじないのようなもののようです。 船には日差しを避けるための屋根がついていて、からっとした川風を受けて快適にクルーズを楽しめるようになっています。日本語のガイドと、お手伝いの女性が乗り込んで、メコン川クルーズは始まります。 メコン川はこのあたりでは川幅が3kmあると聞いていましたが、どうも1kmもなさそうなので、ガイドに聞いてみると、対岸だと思っていた向こう岸は実は川の中央にある島なのだそうです。タイソン島といいます。 このあたりでは、船上生活者の船がたくさん川岸に留めてあって、船の上で洗濯をしたり、家族でご飯を食べているところなんかを見ることができたり、なまずの養殖用のいかだで組んだ養殖小屋などが浮かんでいたりします。 メコン川クルーズはいろいろなルートがありますが、たいていはフーン島で椰子教団を見学して、タイソン島で果樹園見学と、小川を小さな船で巡るのが一般的なコースのようです。 つきぬけるように青い空の下で、ニッパ椰子で日差しを抑えてある小川をのんびりと、アオザイをきた少女の漕ぐボートで巡るのは、とても気持ちの良いものです。 また、所々にお土産売り場があって、椰子で作った食器やシルクの手刺繍の袋や、椰子で作ったキャンディーなんかを売っています。 日本人の機械できちんと仕上げられた製品ばかりを見ている目で見ると、どことなくたよりなさげなミトーのお土産ですが、実はそんなところが手作りの味わいなんですね。 何十年も使っているような古びた鉄製の釜で、自家製のウォッカ(米焼酎)を作っているところを、島の中の村で拝見しましたが、そんな手作り感が、お酒のおいしさになったりするのかもしれません。 ミトーを後にして、国道一号を南に向かうと、少しずつ熱帯のジャングルが現れる頻度が増えてきます。それは椰子だったり、バナナの畑だったり、マンゴーの林だったりします。なんだか日本で考えていたようなベトナムらしくなってきました。 道路は川沿いに走り、その川沿いには半農半漁の民家が立ち並びます。このあたりでは稲作は年に3回刈入れが出来るくらいに良い水田が広がっていますし、漁業もナマズなどの淡水魚の養殖も行われていて、ベトナム中部に比べると豊かな地帯 になります。それでも、毎年起こるメコン川の洪水のせいで、農村の生活は安定しません。 ミトーからメコンの渡し場ヴィンロンまではおよそ1時間かかります。道沿いに渡し舟のお客相手の食堂やお土産売り場が増えてくると、フェリー乗り場はもうすぐ近くになります。 渡し場の前でフェリーを待つ車の列に並ぶのですが、大抵30分くらいの待ち時間になります。その間に停車中の車めがけて、たくさんの物売りがおしかけてきて、ミネラルウォーターやタバコ、果物や食料なんかをいっぱい手に持って、車のドアをたたきます。 私はこういう時の買い物が好きなほうなので、いつもタバコやミネラルウォーターなどを購入するんですが、一度買うと他の物売りが次から次へと車に寄ってきます。商売熱心は分かるのですが、すでに購入したのが分かっている車に、わざわざやってくるのはなにを考えているんでしょうか・・・(笑。 フェリー乗り場では、到着したフェリーから車が下りると、順序良く待っている車を載せて行き、満杯になると出航させます。その間にも次のフェリーが到着して車を下ろす順番を待っています。 フェリーの中にぎっしりと詰め込まれた車から降りると、船の先端にはバイクや自転車に乗ったおじさんおばさんが一杯乗っていて、のんびりとタバコをすったりおしゃべりに高じています 私の姿を見ると、どこから来たのか、仕事は何をしてるのか、結婚しているのかなど様々なことを聞いてきます。私も片言のベトナム語で日本から来たことなどを説明するのですが、「日本はヨーロッパのどこにあるんだ」と聞かれることがよくありました。ソニーは知ってるけれど日本はまだまだ知られていないのかもしれませんね…(笑。 フェリーに乗りながらメコン川を見ると、その大きさに圧倒される思いがします。ここらの川幅は3キロ以上になります。茶色い川面に、たくさんの川草が浮かびゆったりと流れてゆくのが印象的です。日本の川よりも明らかに流れが遅いのです。 フェリーが岸に到着すると、一番前に陣取っていたバイクや自転車がドッと降りてゆきます。その後に続いて車がサイドをこすりそうになりながら、順番に降りてゆきます。次の目的地はカントーの渡し場です。 ヴィンロンから、次のメコン川の渡し場カントーまではおよそ1時間の旅になります。のんびりとした熱帯の農村風景を眺めながらの旅になりますが、メコン川の支流や運河があって、小船が果物や野菜を運んでいたりする風景に出くわしたりして楽しむことが出来ます。 カントーの渡し場はヴィンロンよりも規模が大きく、その分並んでいる車やオートバイの量も多くなります。カントーはサイゴンから南の地域での最大の都市で、カントー省の省都です。ここはメコン川流域地帯の中心都市で、陸上と水運のハブ都市として栄えています。 ヴィンロン側からメコン川を渡ると、すぐにカントーの街に入ることが出来ます。最近は開発が進んで、大きなビルも建つようになりましたが、それでもサイゴンと比べると、かなり小ぶりの街です。 私はいつもここでお昼ご飯をとることにしています。なにせ米の本場で、炊き立てのおいしいご飯をたくさん食べることが出来るからです。ベトナム米は東南アジアの米で、細長い形をしています。ちょっと硬めなのですが、収穫したての米で炊いて食べるご飯は、日本のブランド米にけっしてひけをとりません。独特のにおいと味わいを楽しむことが出来ます。 もうひとつの楽しみは、新鮮な川魚です。ベトナムなまずをすっぱからいスープで煮てたべる鍋料理は、好物のひとつなので、いつもここでは頼んで食べます。たっぷり食べて、おなか一杯になった後は、ランプータンやタンロンなどの軽いフルーツを強烈に渋いベトナム茶をすすりながら食べるのが、私は大好きです。 カントーで小休憩をしてから、国道1号線を西に向けてひた走り、2〜3時間ほど走ると、カンボジアとの国境の省、キエンザン省ラックザに到着します。ラックザはカントーほどではありませんが、やはり南の重要な街で、大きな漁港やエアポートがあり、交通の要所にもなっています。 ラックザからは、フーコック島までフェリーが出ています。また、カンボジアとの国境の街ハーティエンまでは車で6時間ほどで行くことが出来ます。 メコン川流域の旅はラックザでひとまず終わりになります。 |
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